ん〜、ここのケーキは絶品ですわね。

はい。たまたま休憩に寄った喫茶店でしたが
大当たりでしたね。

このお紅茶も気品があって……あら？
あちらの方はどうしたのかしら？

何かを呟きながら、雑誌を見られていますね。
あれは……涙？

心配ですわね。声をかけてみましょう。

うう、りんねちゃん……りんねちゃん……

失礼。大丈夫ですの？

こちら未使用のハンカチです。
よろしければお使い下さい。

は、はい、すみません。
いやだな。私ったら格好悪い所見られちゃった。

これって黒ギャルを特集した雑誌ですわね。
これと今の涙が関係していますの？

はい。実は友達が……大切な友達が、
急に肌を褐色にしちゃって。

それで急に
心の距離が開いちゃったなぁって思ったら、
急に哀しい気持ちになっちゃって。

よほど大切なお友達なのですね。

はい。でも本人は褐色の肌を
とても気に入っているみたいで、
無理矢理元に戻せだなんて言えなくて。

お辛いですわね。

それでしたら、いっその事、
貴方も褐色デビューしては
いかがかしら？

えっ、私がですか！？

はい。心が離れたとお思いになるのなら、
貴方の方から近付けばいい。

つまり、貴方様もそのご友人に
合わせてみてはいかがかと、
お嬢様は仰っているのですよ。

泉美の言う通りですわ。この雑誌をお買いに
なったのもそのお友達と一緒になりたいと
いう気持ちがあったからではありませんの？

そうかもしれません。
私、友達が大切だから……
私も一緒に褐色になりたいです。

では、その乙女の覚悟を無下にする事は
できませんわね。
わたくしたちでプロデュースですわ！

仲良く褐色肌デビューして、
今よりももっと仲良しになって下さいね。

背中を押してくれて、ありがとうございます。
うふふ、待っててね、りんねちゃん！