先天的に重度の心臓病を患っている青年、丘嶋紅朗。
彼にはお互いに意識し合う関係の幼なじみの少女、咲友菜がいた。
――しかし、ある日。
紅朗は自分が20歳になるまでは生きられないだろうと担当医が
話しているのを偶然にも聞いてしまう。
彼は最後の希望だと、悔いを残すまいと、ついに咲友菜に想いを告げる。
お互いの想いは分かっていたはずの仲。
だが……その告白への返答は、無残なものであった。
想いを受け入れられないとの言葉。さらには、セックスの拒絶。
いてもたってもいられず、咲友菜の元から走り去る紅朗。
高鳴る鼓動。速くなる脈拍。……発作の前兆。それでも紅朗は街を駆け抜ける。
『ククク……!そうかい、そうかいッ!
こんな屍同様の体から放たれる精は受けられないって事か……ッ!』
『だったら……だったら、証明してやるよッ! 俺がまだ生きてるって事を!
そのために生をッ!精をブチ撒けてやるッ!
あらゆる女たちにッ!俺の生命をぶっかけてやるーッ!』
――その瞬間、レイプ魔、丘嶋紅朗が誕生した。
……そして同じ頃。
街に広がりはじめた連続殺人のウワサ。
紅朗にレイプ魔の素質を感じ取るとある男の出現。
街に、淫気と死臭が交錯する。
生と死の狭間で喘ぐ青年が辿り着いた最後の境地。
それは己の命を削っての生殖行動を繰り返すレイプ魔への道。
果たして、紅朗はその道を渡り切り、自身の生を証明する事が出来るのか。
それとも、志半ばでその命の灯を消してしまうのか。
これは、”死”に取りつかれた者たちの物語である――
|